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水を舐めつつ、旦那はカウンターに突っ伏したい衝動を必死に抑えた。
「…何でそんな胡散臭い依頼受けたんだよ…」
盛大に溜め息を吐き、旦那はうめいた。
「報酬が凄いのよ、報酬が」
ニヤニヤと嬉しげに顔を歪めるファフを前に、旦那は頭痛を禁じ得ない。
「…金か?」
「もそうだけど、なんと! 城内図書館の自由閲覧権!」
頭痛が酷くなるのが旦那には解った。
「…匿名希望って、結局教団関係じゃねえか…」
現在二人が属する地域はある一教団が統治している。
比較的良好な治安と整備が成されているこの地域だが、それは教団の力の強大さに依るもの。
教団の思想、取り決めの基に人々の生活が敷かれ、しかしそれに異を唱える者も居ない。
口に出さないだけの者も少なくないが。
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