出逢い

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私の生きた世界は、時間がずれていた 止まったままの故郷 月は蜜色で丸く、空を統べ もう…春か 桜の華が儚い命の様に 風に舞い散る この村では村の一人が犠を占いで決められる 選ばれたのは私… ただ、毒を呑み死ぬ直前に埋められるだけ 着ていた襦伴が死に装束に見えた、自分の肉体に “鬼”を宿らせ暴走しない内に柱となって死ぬ 「私の存在は…此処に残る 此処の大地と永遠に」 目の前に一陣の風が吹き 貴子の長い黒髪を棚引かせた 人影が見えた 「これはエグい…人身供養か…馬鹿みたいに永遠に続くぞ お前に、たんまり憑いてる」 くすんだ金髪 翠と蒼のオッド・アイを宿した青年が見える 「馬鹿とは、何ですか…よその世界の貴方にッ!!何が解る!!」 青年を睨み、貴子は怪訝な表情を隠せなかった 青年が貴子の傍に近寄り 貴子の髪を掴んだ 「君はこの馬鹿な所業を続けるのか!!何人この… 村の連中は、死んで居るんだ。君は今年の犠なんだろ!?」 貴子は眉を歪め、何も話してはいないのに… 豹変する青年に混乱した 「辞めて下さい!! 私は決心をしたの止めないで…お願いします 覚悟は出来ています!!」 目の奥が熱くなる 貴子は頭を抱え両手で眼を鎮め心を落ち着かせた 「僕はギルフォード、宜しく。橘 貴子…そんな覚悟があるなら生きる努力をしな」 ギルフォードはにたにた笑いながら貴子を見据えた 「何故…貴方はベラベラと私に関わるのですか!!」 手を振り払い貴子は逃げた
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