CLUB UNDERWORLD1 ~temptation~

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「レイラ」 男が急に誰かの名を言った。 「貴方は今からレイラだ。」 女は訳がわからない。 「私はレイラなんて名前じゃないわ。」 「だから今からはレイラ。」 「意味わかんない!」 絢芽は叫ぶ。 「逃げたいと思ったでしょう?」 ドキッ 「えっ…」 「現実から、嫌なことから解放されたい。誰か助けてほしい。 そう思ったのでしょう?」 男の声が絢芽の心に入ってくる。 確かに絢芽は全てが嫌になって店を逃げ出してきた。 貧しい家。借金を残し、消えた父。私を残し、死んだ母。生きる為に始めた水商売。こんな境遇に産まれた運命。 全てが嫌になった。 「私は貴方の味方です。嫌なことも辛いこともない世界へ連れて行ってあげましょう。絢芽という仮面を外し、レイラの世界を作ればいい。」 男の声が頭に響く。
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