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職員室に戻った僕達。僕のデスクは桐谷先生の隣。逆隣には英語担当だというB組の担任、中尾梨絵(なかおりえ)先生がいた。
「新しく来られた先生ね?よろしく。分からない事は何でも聞いてね」
33歳、一児のお母さんだそうだ。見るからにしっかりしてそうな感じがした。
昼まで時間があるので、一通り周りの先生方に挨拶をし、自分のデスクを片付け始めた。
「や、戻ったね」
ガラリとドアを開けて入ってきたのは永田校長。
「あ、お疲れさまです」
「うん、お疲れさま。ところで高村先生、今日の夜は空いてるかね?」
「え、あぁ、特に、何もないですけど…、何か…?」
突然の質問に僕は戸惑いを隠せなかった。すると、ずい、と横から中尾先生が割り込んできた。
「今日金曜じゃない?だから、高村先生の歓迎会やろうってなってるのよ。ね、行きましょう!」
「え、あ、そうなんですか?」
「いやいや、突然だけどね、是非参加してくれんか?…桐谷先生も参加するだろう?」
校長が笑いながら隣で書類整理をしている桐谷先生へ尋ねる。
「やだ!校長先生!桐谷先生はデートがあるからダメですよぅ。ね、桐谷先生?」
ケラケラ笑いながら中尾先生が言う。桐谷先生、彼女いたんだ、なんて考えていた。すると桐谷先生はクスッと笑い、眼鏡を直しながら言った。
「中尾先生、何回も言ってるじゃないですか。俺、彼女いないですから。校長、もちろん参加させていただきますよ」
「ハハハ、そうかそうか。じゃあほぼ全員参加だな。久しぶりに楽しむかね~」
ダハハと笑いながら校長は職員室を出て行った。
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