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「ウラタロス…」
ポツリと寂しげに呟き僕の服の裾を引っ張ってきた。
「どうかした?」
優しく髪を撫でてやると気持ちよさそうに目を細め猫のようにすりよってきて
「僕の前から…消えないでよ?」
消え入りそうな声で小さく呟くと壊れそうな相手の表情に思わずきつく抱きしめた。
そうでもしないと消えてしまいそうで…
良太郎も僕の背中に腕を回し求めるように抱きついた
「大丈夫…僕はここにいるから…」
だから…安心して眠っていいよ?
甘い嘘を並べ囁き優しく髪を撫でる。
良太郎は僕を信じて眠りについた…
僕は近い将来必ず消えてなくなる。生きる世界が違い過ぎたんだ。
カタカタと進み始めた歯車は止まることをしらない…どこかの歯車が壊れるまで進み続ける
カタカタカタ…
どうかこの時が長く続きますように…
せめて夜が明けるまで…
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