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ガシャン!
赤い兎の様な帽子を被った青年の手から、武器である時計が弾き落とされた。
その隙を見逃さず《影》がその青年に襲い掛かった。
彼は衝撃に備え、目を固く閉ざした。
だが、何時まで経っても痛みがこない。
恐る恐る目を開けると、目の前には青い髪の青年と黒服の軍人が戦っていた。
「つっ・・・、スマイル!極卒!」
名前を呼ばれた二人は彼の方を向くと、小さく笑った。
彼に余計な心配をさせないために。
その瞬間だった。
その空間が突如光に包まれた。
そして、空間がまた闇に染まった時、六人と《影》は跡形もなく消えていた。
(MZD、大丈夫なの?)
「ああ、今はあいつらを信じるしかない」
(だってパートナーがいないと《影》はともかく、《幻影》には敵わないんじゃ・・・)
「大丈夫だ。あいつらは今達の所へ送った」
(え!?MZDはこの事関与出来ないんじゃなかったの!?)
「これぐらい、どーってことねーよ。まあ、《影》や《幻影》との《戦争》はあいつらに任せるしかねーけどな・・・」
(・・・ねえ、MZD。彼等は僕たちを恨むかなあ?)
「何故そう思う?」
(だって、戦う《能力》を元々持っていたとはいえ、いきなりそれを使って得体の知れない者と戦えなんて・・・。普通恨まれるって・・・)
「・・・あいつらの覚悟は本物だ。俺はむしろ止めようとしてたんだぜ?」
(え・・・?)
「でも、あいつらはこの道を選んだ。護りたいものがあるんだそうだ。ったく、そんな覚悟を見せられて俺だけこんな所でぼーっと突っ立っておく訳にはいかねーだろ!」
(・・・そうだよね。まだ僕らに出来る事もある。まだ手遅れじゃない!)
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