遠回りの果てに<上>

夏の始まりと共に

なんてことない、いつもと変わらない毎日を送っていた。

渡辺哲平　24歳
高校2年で中退後、ずっと夜の世界で生きてきた。
そろそろ身を固める頃だと、最近昼間の仕事に就いたばかり。
女は常に周りに寄り付いてくるけど、うざったくて今は一人。

特に何をするんでもなく、平日はもっぱら寝ては仕事の繰り返し。

今日は遅くまで同僚と居酒屋で飲んで来て、夜明け頃に眠りについた。

代わり映えのない毎日、いつもと同じ時間を過ごすと思っていた。