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「はーい!皆さんお待ちかねの月一席替えタ~イム!
順番にくじ引いてね~」
そんなことを大声で言うのは眼鏡をかけた痩せ気味の男のクラス委員長。
皆、我先に!とでも言うように一列に並ぶ。
「いんちょー!俺5番!…って一番前かよ!ついてねー!!」
「はいはい、5番が森田くんね…」
そんなやり取りをあたしはまだ席についたまま見る。
あたしも一番前だけにはなりたくないな~…
できれば後ろで頼むっ!
心の中で願いながら席を立ち、最後尾に並ぶ。
ふと、回りの声に耳を傾ければ、
「あたし、翔くんの隣がいーなー」
「別に隣じゃなくっても近くならどこでもいーけどさっ」
「翔くんまだくじ引いてないのかー」
ちょいちょい聞こえてくる“翔くん”。
仁科 翔(にしな かける)。
彼は今年、同じクラスになった男。
ただそれだけ…なんだけどなんで皆が彼を意識するのか。
ぱっちり二重で切れ長の目。
すっとした鼻に形のいい唇。
そして背が高くって優しい性格。
女子が放っておくわけがない。
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