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「…ハイッ!!じゃあ、次の人お願いしま~す!!」
今日は成人式だ。地元の若者が50人程近くの旅館に集まり、酒と煙草の臭いが充満していた。
17時。まだ早い時間なのに皆ベロベロに酔っ払い、話題は自分の体験談になっていた。
今、僕の前の奴が立ち上がり、話し始めている。僕はそれをぼんやりと眺めていた。
「…だったんだよ。ハイ、終わりで~すッッ!!」
ワァーッ!!っと歓声が上がり、拍手がまき起こった。
「いいねー盛り上がったよ!!それじゃあ、次の人!!面白い話を頼むよ~」
皆の目がこちらを向く。
僕の番だ。
何の話しよう…。とりあえず、あれでいいかな。
「え~じゃあ、話します。」
途端に拍手が起こる。
「この話は10年前、そう10年前、僕はまだ10歳で、一人で電車での遠出は人生初めてだったんだ。」
僕は話始めた。
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