10年目の約束

気付くと僕はまたホームに座ってた。

目を擦り、自分の体を見つめる。どこも怪我をしていなかった。

…

おかしいなぁ。さっき死んだと思ったのに…。

僕は少しだけ疑問に感じたけど、特に気にはしなかった。

再び、電車を待つ。僕は欠伸をしながらほどけかけた靴紐を縛り直し始めた。

…

視線を感じたのはその時だった。ゆっくりと顔を上げる。

目の前に女の人が立っていた。白い肌に白のワンピース。髪は驚く程に長く、後ろ髪は地面すれすれまで伸びていて、目をきつく閉じている。

首筋に黒いホクロが１つ。それが女の人の異常な白さをより引き立てていた。

女の人が目をカッと開いた。その瞳は真っ赤で、その時初めて恐怖を感じる。

女の人は怯えた僕を見てニタァアッと笑い、話し掛けてきた。それは凄く早口で、僕は聞き取るので精一杯だったんだ。