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なぜなら、彼女には何度かの、前科があったから……。
小学校の時、彼女の机の中は驚異のミラクルワールドと化していた。
ありえないものが次々と発掘されるので、まるで四次元ポケットのようだとまで言われていた。
カビの生えたパン。
ヨーグルト状になった牛乳。
ナイロン袋に入れられた、腐った給食のおかず。
彼女は巨体だったけど、偏食は激しかった(;´д`)
そして、それらの中にぐしゃぐしゃに教科書やノートを突っ込んだら……
溶けたバターや腐った何かの汁が教科書やノートにべったり付着し、青や白のカビが自然栽培されるのだっ!
( ̄Д ̄Ⅲ)ゾーッ!
夏場に隣の席にいるだけで、異様な匂いが漂ってくるのだから、たまらない。
(T_T)
しかし、早苗ちゃんの机が四次元ポケットと呼ばれていたのは、また別の理由からだった。
四次元ポケットと呼ばれる理由、それは……。
クラスの誰かが新しい文房具を買うと、よく教室内で無くなった。
エンピツ、消しゴム、ノート、下敷き。
そして不思議なことに、無くなったのと全く同じ文房具を、必ず早苗ちゃんが持っていた。
「たまたま同じ文房具買って、持ってただけやん!」
何度クラスメイトに問い詰められても、早苗ちゃんはそう言い訳していた。
エンピツや消しゴムに名前を書く子は少なかったから、何の証拠もないし、結局はいつもうやむやになってしまう。
でも、そんな言い訳が長く続くはずもなかった。
ある日、田中君が新しいノートを無くし、先生を呼びにいったことから全ては発覚した。
先生は早苗ちゃんが自分のものだと言い張るノートを手にとった。
そして、3Bのエンピツを寝かせ、その平らな腹の部分でノートの表面を黒く塗りつぶしはじめた。
すると!
かすかに白く浮き上がる、田中君の名前!(@Д@;)
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