身体の信号

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それに気づいた看護婦さんが止めに入った。 私は看護婦さんの声を無視して指をガジガジと噛み続けた。 「あ…愛染さん…、痛いからやめたしょうよ」 と。 でも私は 「ハサミが欲しい!!ハサミはどこにかくしたの?」 と強く聞き出した。 私の頭の中にはハサミで一杯だった。 まずはこの包帯を切り刻んで、ベッドにカーテン…腕、髪、足… そう、私にはハサミが一番必要なモノだった。自分から自分を守る為の武器。 この身体にはハサミが必要なんだ。 身体がそう言っている。この聞こえない悲鳴はハサミが必要なんだと知った。
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