『機甲第18小隊の悪夢』

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戦いは80年の永きにわたり続いていた… 人類が太陽系を飛び出し、深宇宙に進出してより既に120年、その過半以上を戦いに明け暮れている事になる そしてこの時代『人間』とは『戦争資源』の一つでしかなかった… 圧倒的な迫力でせまる2つの月に照らされ、そこはまるで黄泉の国を眺めているかのような不気味な静寂と沈黙に包まれていた 数日前に彼らが降り立った時には木々の緑に虫たちの声がうるさいほどで、新参の人類の姿に恐れる気配もなく、大型の野生動物が闊歩する広大な森林地帯であった が、2度の大規模爆撃で全てが灰燼と化し、あたり一面の焼け野原となってしまっている 「そろそろきますね、ピケットの“虫”が全部叩かれました」 報告をうけ思わず呻きをもらしたのは金松という名前の少尉である 「警戒レベルを上げて、全員配置についています」 「ありがとう軍曹、…それで、次は何が来ると思う?」 「…さて、なんにしてもろくなもんじゃないでしょうねぇ」 そう言うや敬礼1つ残し、足音もなく持ち場にもどっていってしまう 多少軍隊式の礼儀に外れるところはあるが、状況が状況だけに金松も咎める気にもならない 恐らく数分後には敵の攻撃が始まるのだ
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