『機甲第18小隊の悪夢』

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しかし…この装甲服を着たまま、よくあれほどスムーズに動けるものだ… 流石は『軍隊の背骨』とされる古兵の曹官だと、妙に感心してしまうが、何時までも感心してばかりはいられない 溜息をつき敵陣の方向に向けたカメラが見つめる景色を、正面の補助モニタに表示する 瞬転、その一角が真っ白に焼きつく 「総員戦闘準備!対衝撃防御体制をとれ!」 「…総員…」 もちろん最初の命令は軍曹の出したものだ、完全に軍法会議ものだが、もちろんこれにも文句はつけない 同じ命令を金松も出そうと思ったところだったからだ なにより、ありとあらゆる対空火器が火を噴き、凄まじい勢いの防御射撃を行っている今、一体誰の何を咎める時間があるというのか… 映し出された、全天を覆い尽くす程の砲弾の影… おそらく2割を落せればいいほうだろう また損害が出る… その後はおそらく白兵戦になる 大型の機動兵器はここ数週間の激戦で双方共に全て消耗してしまっているからだ 塹壕から5メートルほどの所に設置してあった最後のカメラが吹き飛ばされ、重金属と土砂の嵐が深い塹壕の上を吹き荒れはじめた 「ちくしょう、なんだってご先祖さまは好き好んでこんな所まで来ちまったんだ!」 既に全ての帯域で無線の通信は封鎖され、降り注ぐ土砂にレーザー通信すら途絶している 金松の叫び声は自身以外の誰にも聞かれる事はなかった
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