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遠い昔…英国のある村にベティという
村一番の綺麗な娘がいました…
年頃になったベティは…
花嫁修行を兼ねて奉公へでました…
奉公先の奥さんはとても親切でした…
16の誕生日を実家の村へ帰り過ごしなさいと…
大きなパンを焼いてベティに持たせました…
途中水たまりがあり…
ベティは新しい洋服や靴が汚れるのが嫌で…
『どうせこんなパンたべやしないわ…』と
水たまりにパンを投げ入れ踏みつけてしまいました…
すると…
ベティは地獄へ墜ちてしまいました…
地上ではすでにみんなが泣いており…
パンを踏みつけた所をみた者もいました…
『ベティ…
食べ物を粗末にするなんて…
神様になんて失礼な事を…』
ベティは自分は何も悪くないと思っていました…
『それなら先に教えてくれたら良かったのよ…』
ただただ膨れっつらの…ベティ…
ずっとパンの上で鎖につながれた毎日でした…
いつまで…こんななの…
ベティはいつも思っていました…
ある日の晩
どこかの子供がパンを踏んだ少女のお話しを…
寝る前に母親が読み聞かせしていました…
『パンを踏んだ少女はまだ暗い闇の中にいます…
おしまい』
すると少女は大粒の涙を流し…
『ベティが…ベティが…
かわいそうなの…ママ…
ベティはずっとそのままなの…』
少女の涙が…ベティの心に染み渡る…
ベティは手を高々と上げて…
『神さま…』
ある港町…
灰色の小鳥が窓辺にいた…
少年はパンを細かくちぎりパラパラと置いた…
灰色の小鳥はパンを食べずに行ってしまった…
ほどなく…
何羽かの鳥を連れてやってきた…
灰色の小鳥が少年にそっと打ち明けたのでした…
『私は昔ベティという女の子でした…
パンを踏みつけたの…
そのパンの分を神さまに返さなければならないの私が踏みつけた分のパンを…
パンの分になったら…
私は白い鳥になって…
自由に飛び立てるの…
あの青い空を自由に…』
灰色の鳥は…
少年に語ると…また…
行ってしまった…
あとどれほどのパンを集めたら白い鳥になれるのだろう…
少年は寒く震えながら…窓の戸を閉じた…
オワリ…
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