兄妹~親に捨てられた話~

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  「…実は私達の家はとても貧乏で、明日の食い物もままならない状態なんです…」 「そんな感じだな」 そう言うギルに、アルスのアッパーカットが決まる。 男性は苦笑いしながら続きを話す。 「…で、ですね。一応仕事はあるんですよ。木こりなんですけど。 でもここらに住んでる人達は皆同じ仕事なんですよ。それもあって対して稼ぎにはならないんです。 妻…後妻なんですが、そんなに苦しいなら子供達を森の中に捨てて食いぶちを減らしたらどうだと言うんです。 もちろん最初は反対しましたよ。前妻の可愛い忘れ形見ですから。 でもそうこう言う内にどんどん食べ物がなくなってきて、とうとうパンのカケラさえなくなってしまって…。 もうこれでは皆餓死してしまうと思い、昨夜子供達を森に捨てる決心をしました」  
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