序章~始まりは理不尽に~

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  今日も雪の赤ずきんの異名を持つ、金髪碧眼の少女アルスは、相方(もとい下僕)の灰黒の毛並の狼、ギルとともに次の街へ向かっていた。 「…なぁアルス…。俺の背中にくくりつけたお前の荷物、いい加減どうにかしてくんない」 「あら、似合ってるからいーじゃない」 答えになってない。 ぐははと山賊顔負けに笑う隣で、ギルはげんなりしながら諦めて歩く。 ギルの背中には、限界まで乗せられたあるモノが乗っていた。かなり重い。 当のアルスの手持ちは、愛用の編みかごのバスケットのみ。 中身は乙女の秘密らしい。知ろうとも思わないが。 アルスが自分の言葉に耳を貸さないことは、短い付き合いとはいえ理解していた。 まぁもとからどうにかしてもらえるとは期待してなかったが。 「あんたは私を文字通り食おうとしたっていう重ーい罪があるんだからね。私に逆らう余地はないっ」 責任とってもらうから、と続けるアルスの頬は何故か赤かった。 後ろを歩くギルには、その表情は見えなかったが、以前した自分の過ちを心底恨んでいた。 (ちっくしょー、誇り高き狼であるオレ様が…人間ごときの言いなりになるなんて…っ)  
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