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「………はらぁ…へったぁ…」
馬車や人が踏み固めた茶色い道を、2人は行く。
針葉樹が道の両脇に生い茂り、小鳥がどこかしらでさえずっていた。
ギルは今日何度聞いたか分からない腹の泣き声にうんざりしていた。
丸2日食べ物にありついてないのだ。
アルスは自分だけちゃっかり保存食を食べていたが。
「そんな情けない声出さないでよ。
仮にも狼なんだから、そこらの森で狩りでもしてきなさいよ。
ついでに私の分も狩ってくればいいじゃない」
「あつかましい女だな…。
てかここの森は…使えねぇよ…」
心なしか、抗議の声も弱々しい。
そんなギルをちらりと見たアルスは、しょうがないとばかりに何か固いものをデコピンの要領で豪速球で弾いて寄越した。
「あだっ」
頭にめり込んだ。
「ほら、これあげるからもーちょい頑張って」
投げて寄越したものは…くるみだった。
…これは。
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