エロスは女神

6/20
72605人が本棚に入れています
本棚に追加
/355ページ
 人生二度目の飛行を体験中の私、ルシファ=アスモデウトの実況でお送りいたします。 「おう、そろそろ降ろしてくれないか?」  そろそろ股間がぐっしょりいきそうだ。 「え~、こんな所で落としたらいくらお兄さんでもハンバーグケチャップソースがけになっちゃうよ?」 「そうだから降ろして、欲しいんだ」  降ろして、の部分を強調して再度交渉という名の命乞いを開始する。 しかし、そんな俺の必死の嘆願を聞いても、このよく判らない魔族はただ笑うだけ。 いや、ちょっとドS過ぎるだろう、それ? 「んも~、まったくお兄さんは変わらないんだから~。僕ウレシイっ!!」  そう言って俺の首を絞めにかかる謎の魔族。何が嬉しいのかは分からないがなんとなく殺気は感じない。 多分、死なない程度に苦しめるのだと思う。 「で、お前さんは一体どこへ向かってるのかね?」  とりあえず会話をしなければ交渉もくそもあったもんじゃない。適当に返しやすい質問を投げかけてみるか。 「うん? あ、言ってなかったね。えっとね、僕達が向かってるのは、今お世話になってる魔軍ってとこの拠点だよ!」  しまった、これは交渉どころではない。 いきなり生きる希望を殺してしまった。 「そこにはお姉ちゃんも待ってるから~、着いたらさ、また昔みたいに僕達を~…、可愛がってくださいっ♪」 「昔?」  昔とは一体何のことだろう。 俺はまだ死んだことはないよな? 「あれ? もしかしてお兄さん僕のこと覚えてない、とか?」 「ああ……。というかお前さん本当に魔族なのか? なんか異様に神々しいぞ?」  そうなのだ。さっきからこの魔族の男? 女? まあどっちか分かんないけど、はどうしてか神々しい。こうなんか、完全無欠みたいな完成しているというか……? 「わあっ、懐かしいね~その台詞? 初めて会った時にもそんな事言ってたよね!」  初めて会った時にも……? 「あれ…、お前コウリア?」 「あ、思い出してくれたんだ?」
/355ページ

最初のコメントを投稿しよう!