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人生二度目の飛行を体験中の私、ルシファ=アスモデウトの実況でお送りいたします。
「おう、そろそろ降ろしてくれないか?」
そろそろ股間がぐっしょりいきそうだ。
「え~、こんな所で落としたらいくらお兄さんでもハンバーグケチャップソースがけになっちゃうよ?」
「そうだから降ろして、欲しいんだ」
降ろして、の部分を強調して再度交渉という名の命乞いを開始する。
しかし、そんな俺の必死の嘆願を聞いても、このよく判らない魔族はただ笑うだけ。
いや、ちょっとドS過ぎるだろう、それ?
「んも~、まったくお兄さんは変わらないんだから~。僕ウレシイっ!!」
そう言って俺の首を絞めにかかる謎の魔族。何が嬉しいのかは分からないがなんとなく殺気は感じない。
多分、死なない程度に苦しめるのだと思う。
「で、お前さんは一体どこへ向かってるのかね?」
とりあえず会話をしなければ交渉もくそもあったもんじゃない。適当に返しやすい質問を投げかけてみるか。
「うん? あ、言ってなかったね。えっとね、僕達が向かってるのは、今お世話になってる魔軍ってとこの拠点だよ!」
しまった、これは交渉どころではない。
いきなり生きる希望を殺してしまった。
「そこにはお姉ちゃんも待ってるから~、着いたらさ、また昔みたいに僕達を~…、可愛がってくださいっ♪」
「昔?」
昔とは一体何のことだろう。
俺はまだ死んだことはないよな?
「あれ? もしかしてお兄さん僕のこと覚えてない、とか?」
「ああ……。というかお前さん本当に魔族なのか? なんか異様に神々しいぞ?」
そうなのだ。さっきからこの魔族の男? 女? まあどっちか分かんないけど、はどうしてか神々しい。こうなんか、完全無欠みたいな完成しているというか……?
「わあっ、懐かしいね~その台詞? 初めて会った時にもそんな事言ってたよね!」
初めて会った時にも……?
「あれ…、お前コウリア?」
「あ、思い出してくれたんだ?」
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