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そう言ってにこやかに笑うコウリアらしき有翼の魔族。
「いや、本当か? 前に会ったのは二年前かそこらだろ?」
もしそれが本当だとしたら、成長期にも程がある。それも特殊な。
身長は一回り程大きくなってるし、顔立ちは大人っぽいというかなんか、別の姉妹ですぐらいしか面影がない。でも胸ペッタン。
「……うん、まあコウリアかな?」
「お兄さんって限度を知らない命知らずだよね~♪」
ぐわんぐわんと揺さぶられる俺の身体。
あ、靴落ちた。
「も~、今のこの姿はちょっと特別なんだからしょうがないのっ!」
「特別? ……ああ、そう言えば両性具有みたいな感じなんだったな」
そう、初めて会った時のこいつには中々に立派な相棒が付いていやがった。あの時は後方からの一突きを食らうんじゃないかって、かなり危機感を持ってたよな。
「うんうん。あれね、実は順序が逆だったんだよ」
「逆?」
「そう。僕はね、完全性なんだって。姉さんがそう言ってた」
本人も良く分かっていないのか、人指し指を頬に当てて思い出す様に俺に教えてくれる。
なるほど、それならコウリアの神聖さも納得出来るな。
どちらか一方の不完全な性しかない普通の生物。それを完全なものとしたコウリアは、大雑把に言えば神様みたいなもの。一つの完成体ってのが近いのか?
「まあ、よく分かんないだけどね♪」
そう笑い放つコウリア。
……ふむ、そろそろ時間かな?
「よし話は分かったコウリア。取り敢えず、降ろしてくれ」
「はえっ?」
俺の申し出が意外だったのだろう、その丸い目を大きく開いて首を傾げる。
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