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「はにゃにゃにーー!?」
正に間一髪。魔術の一つ一つがわきの腰の隙間を通る様に飛んで行く。
「ブクブクブク……」
今の俺は蟹にも負けない程のブクブク具合だ。
「こんのっー!」
何かが弾ける様な激しい音がしたかと思うと、あれ程までに大量に周りを飛び回っていた魔弾共が綺麗サッパリ消し飛んでいた。
「ほほう……? まあ、そうでなくてはやりがいがなさ過ぎるな」
まるっきりラスボスみたいな台詞と表情に改めて畏れ直した俺。
その恐怖は魔族であるコウリアでも共感出来るものだったらしく、その額には大量の冷や汗が流れている。
「な、な、何なのあの人!?」
「あー、今の相棒……、つーか御主人様?」
「何それって…また来たー!!」
次に飛んできたのは先程よりも早く効果範囲もでかい『レ』級魔術。
あれ? もしかして俺諸共って奴かな?
「ひぃやぁ~、ね、姉さーん!!」
俺を持っているせいで避けられないのか、目をつぶって助けを呼ぶコウリア。
待てっ、諦めるな! お前は当たっても重傷で済むだろうが、俺はあいつの言葉通り消し飛ぶからっ!!
怒濤の勢いで迫るサテナの魔術。それが正に当たるといったその瞬間、
「……何者だ?」
「ぬぅ?」
サテナの鋭い視線が俺達を通り過ぎて、その後方へ注がれる。
今、俺達の目の前まで迫った魔術は更に強大な魔力によって逆に消し飛ばされた。
その威力は明らかに化物級。何て言ったって、全力ではないにしろ、あのサテナの魔術に真っ向から打ち勝ったのだ。
「全く、遅いから迎えに来てみれば……」
その現れた救世主は、その扇情的なウェーブのかかった長髪をかき上げて、懐かしい二つのモーニングスターをブルンと振いながら俺達の後ろに、
「助けに来たわよ~コウちゃん♪」
颯爽と現れた。
「遅いよっ、姉さん!!」
「ええっ!?」
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