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「ユリエラ、か?」
俺の体には既にまともに話す気力は残されていないようです。
「うう、こうちゃんが反抗期……。って、あら御久し振りねっ、美味しそうな御方♪」
ああ、未だに俺は美味しそうらしい。
実際その呼び方って恐怖を感じるんだよね。……いや、だって美味しそうだよ?
「さてさて~、これで二対一だよ、そこの目茶苦茶強いお姉さん!」
なんだかんだお姉さんが来たのが心強かったのか、先程までとは違う堂々とした態度でサテナの前に立ちはだかる。
「…………………?」
そんなコウリアの様子に目を開きながら凝視するサテナ。
……まあ、あれだな。言葉は汚いかもしれないけど、簡単に言えば『何、訳の分んない事言ってやがんだお前?』ってところかな。
「ふふ…ふはははははははっーー……!!」
「うーん、お嬢さんはなぜ笑っているのでしょうかね~?」
サテナの笑い声に顔を顰めるユリエラ。
……そりゃあ言いたい事も分かるけどさぁ、……でもやっぱりそれでもサテナの相手は厳しいってのが現実だって。
「二人、たったの二人でこの妾の相手が務まると思うたか! 笑止…、これほどまでに笑えぬ冗談、」
堪えられないと言いたげだったサテナの嘲笑が止む。それは彼女の敵が粉砕される合図。死神の鎌が振り下ろされるかのごとき所業。
「聞くに堪えぬ」
「ひやぁ~!?」
トルマ系のいかづちがサテナの周りで唸ったかと思った瞬間、それは牙をむいた。
右へ左へと旋回しているのだけはかろうじて分かるが、自分が今どこら辺を飛んでいるのかは全く認識できない。
時折、俺の体内の鉄分に反応しているのか、近くを通った雷がピリリと痺れる。
あ、死ぬ死ぬ、俺死ぬ。
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