エロスは女神

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「でも大変だなユリエラも? 万年魔力欠乏なんだろ」  同僚を励ます程度の慰めを送る俺。 まあ、最近になって魔力が足りないという状況の辛さが分かってきたからな。 「そうなんですよねぇ……。でも、私ルシファさん以外の殿方から性を頂くのも嫌ですし」  甘える様に胸元でのの字を書くユリエラ。  嫌だな、こういう事されても感じるのが寒気だなんて。 「私も~!」  そう言って捕食しようと、いや単純に抱き付いてきただけだけど。 「……ふむ、ユリエラとかいったな? 主の親はもしかして魔界の出自ではないか?」  不意に、今まで考え事をしていたサテナが口を開く。  ……うん、いや多分、魔的にでぃーぷな会話だよね? 「……母方はこちらの睡魔の筈ですが、父方の方はなんとも…」 「うぬのその魔力欠乏は、魔界出身者がこの人界で起すものに酷似しておる。もしうぬが睡魔でなければ今頃この世におらなんでも無理ないものだな」  サテナの話しによると、この世界、『人界』には『魔界』とかいう物騒な世界に比べ、大気中の魔力が格段に少ないらしい。そのため、こっちで無駄に魔力を使うと簡単に枯渇し、死に至るらしい。  というか俺、この世界で初めて魔界の存在を知った人間になったやもしれない。 「うむ。そう言う事ならばユリエラ、コウリアよ」  サテナが珍しい事に二人の名前を呼ぶ。どことなくつくった感じがするのは、普段からこういった作為のある話し方をしないせいだろうか? まるで子供が悪いことをしてそれを隠す子供のようだ。 「うぬらを妾の城へ招待しよう。ユリエラほどの魔力があれば、所属する領地さえ決まっておれば向こうでも十分にやっていけると思うぞ?」  あらあら、そんな慣れない事をするからあの秀麗な笑顔が台無しだ……。まあ、話の提案自体は至極まともな内容なんだけど……。 なんでサテナの奴、こんなに挙動不審なんだ? 「……ふふふっ」 「な、何故笑うっ?」  ユリエラの含み笑い。それを見たサテナが分かりやすく焦る。 この調子を見る限りユリエラにはサテナの企んでいる事がよめているらしいな。一体何なんだ? 「そりゃあ笑っちゃうよ、お姉さん!」
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