はい、死ぬかと思いました!

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―魔族 人知を超えた力を持つ存在。 人型の魔の物の総称。 そんなバッドな説明しか浮かんでこない人類の敵対者。目の前で寝ている女がその魔族。高貴さを漂わすその姿は数いる魔族の中でも上級に位置するだろう。 気付いた途端、その無防備な姿がまるで牙を光らせる猛獣の様に俺の目に映る。 「うわ駄目だ、逃げるしかない…。丁度次の街へ行く所だったんだし……」 街の人間はいいのかって?どアホっ!こちとら既に一杯一杯じゃ! 「うーん…」 一瞬のうちに止まる時間。猛獣の目覚め。確信的な死の予感がひしひしとする。 「………ここはっ!?」 半身をあげた瞬間、普通に比喩でもなく飛び上がる魔族の女。 うわ、飛行魔術(フライングスペル)じゃん…! 飛行魔術は中の上レベルの魔術だが、それを上手く操ることが出来る魔術士は確実に上レベルに属する。 「貴様は誰だ…」 底冷えのする声で質問される俺。 うん、声がでないよね! 「…これは貴様がやったのか…っ!」 自分の服装を見て、再度問い掛けてくる。こんどは憤怒の感情つき。 俺はその問いに首を横に振って答え、下で死んでいるさっきのハゲを指差す。 そして、俺のモノ縮こまり過ぎて多分再起不能マル。 「それはもう死んで…お主がやったのか…」 俺の持っているミスリル製の剣を見てそう言い、何故か唸り始める。 むぅとか言っている素振りは顔に似合わずに可愛い。 「…つまり貴様はわらわを助けたと言いたいのか…?」 言いたいのかってっ…!?まさか、人間何かに助けられたのが屈辱だとか? 顔を真っ赤にしながらこっちを睨み付ける様子を見る限り間違いないな…来世も人間がいいって言うのは贅沢ですか、神様? 「ピィギーッ!」 俺が茫然としていると、運良く生き残っていたのだろうガーゴイルが何故か仲間であるはずの魔族の女に襲いかかる。 「…」 「ヒギュッーー…」 そんなガーゴイルに一瞥もせず、指一本を立てる。それだけでガーゴイル君は塵一つ残さずに消え去った。 あー、なんか見覚えあると思ったら魔王じゃん!今の、うちの軍のだいたい半分を焼き払ったやつ!そりゃあ、がーちゃんも消滅するってのっ… 生きてるのが逆に辛い…
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