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「うんうん、そうかそうかっ!」
先程とは打って変わって、満足気な顔で頷きなさる魔王様。取り敢えず、命を取られるような事態からは逃れられたらしい…
「ふむふむ…おお、そう言えばまだ妾の名を授けていなかったな?」
そういうと、彼女がこちらを見据える。
背を張り、顔は優雅にされどもその眼光は鋭く。
傲慢で己を疑うことないその姿はまさに支配者。
「我が名は『サテナ=バルムント』。忘れるな、この世界を未来永劫、支配し続ける者の名だ。」
…もしも、目の前で振れる二つの宝玉がなければ、俺はその場で跪いてしまっていたかも知れない…それほどの風格が彼女にはあった。
「む…、主しっかり聞いておったのか…?」
そう言って、ジト目でこちらを睨む魔王様。
「そ、そんなことは御座いません魔王様っ!?」
やばいっ、また怒らせてしまった~!
つーかさっきからなんで俺こんなにぼけてるんだ!?
「おぬし…何のために名を授けたと思っているのだ?」
さらに機嫌が悪そうに俺を睨む。うーん、昔から思ってたけど、俺って気が利かないよね?
「申し訳御座いません、バルムント様…」
「ん、とだなぁ…。その、なんだ…私の軍が出来たらそう言う風な言葉遣いが正しいのだが…」
なんだか歯切れの悪い魔王様。うーん、今のはこれ以上ないってぐらいよかったと思ったんだけどなぁ…?
「まあ、ちゃんと形になるまでの間はな…うむ、別に畏まらなくてもよいぞ?」
さっきから魔王様には驚かされてばっかりだが、この言葉が本日最高のビックリだろう。
何か意味を取り違えたのか考えてみる。
「あの、それってタメ口でいいってことでしょうか…?」
俺が恐る恐る尋ねる。
「うむ、まあ言葉遣いは悪いが、有り体に言えばそういうことだな」
問題ないと言わんばかりの平然さでそうおっしゃる魔王様。
取り敢えず、意味を取り間違えたということはないらしい。
「その…誠に申し訳ないんですが、流石にそれは気が…」
「余の言を覆そう、と…?」
「ははぁー!!」
勢いで平服、土下座してしまう俺。
いや、なんかね、やっぱりそういうもんだよ、弱者の性って?
「よしよしっ♪」
ご機嫌そうな魔王様。
なんとかこの場は凌いだみたいだな…
―さあ、これから一体どうなることやら…
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