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「ふむ、つまり主は傭兵だとな?」
まるで、世界が平和になってしまったのかと思ってしまうようなぐらいのお昼時。
俺の馬車の荷台から、顔だけだして話しかけてくる魔王様。
「まあ、そんなもんかな?基本的に、軍に関係するような所が中心だな」
「ほう、何か理由でも?」
純粋な好奇心というやつなんだろう。さっきから尽きることない質問責めにあっている。
その世間知らずぶりになんとなく、魔王と言うよりお姫様っぽいなぁと思ってしまった。
相も変わらず、自爆性なぼくちゃん♪
「ああ、まず第一に金の払いがいい。奴等は散々いろんな街から集金しているからな、金には困ってないんだろうな」
まっこと、羨ましきことなり。
「なるほどのぅ…第一ということは第二もあるのだろう?」
ほれ早く言ってみぃ、と先を促される。
う~ん、はっきりいってこれから言うことは情けないからあんまり話たくないんだけどなぁ…
「あー、うんそのですね…」
焦ってちょっと素の敬語がでた途端、魔王様の機嫌お悪くなる。
いやいや、魔王相手にこんだけタメ口きいただけ凄いと思ってくださいな!
例えればワニの口の中で漫談をこなしているようなものですから!
「…そういう大掛かりな戦の方が死ぬ可能性が低いんだ」
俺がタメ口に戻すと、彼女は満足そうだ。
「ふむ…腑に落ちんな、その様な場なら逆に死にやすいものではないのか…?」
「それは、普通に戦った場合の話だ」
魔王様は?を浮かべてこっちを見る。
「味方の多い所へ入り、敵の突撃を避け、脆くなっている所をつつく!…まあ、最悪死んだふりして、戦場から離れた所に倒れていればいい…んだけど…」
うわっ、言ってて恥ずかしくなってきた!
簡単にいえば、逃げて人任せにして自分は弱いものいじめ、挙句の果てには死んだふりだもんな…
「…し、しかしもしそれで負けたらどうするのだ!?魔族は敗残兵など一人も残さず、いくら戦場で生き残っていてもその後に止どめを刺されてしまうであろうっ!」
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