アイツハ病原菌

2/4
前へ
/66ページ
次へ
「おい!!こっちくんなよー!!感染する~ッ」 オエッと男子が吐く真似をする。 周りの男子は笑っている。 「そういや俺朝見たぜ~。黒澤と優子がぶつかってたところ!」 私は登校途中の道の角を曲がるときに、同じクラスの女子、優子にぶつかったのだった。 優子はビクッと顔をあげた。 「うっわぁマジかよ~汚ねぇ~…。今日は優子が第一感染者だな」 「ちょっとやめてよ!あんな奴の病原菌なんて私持ってないもん!」 男子達は囃し立てる。 「おい皆優子に近づくな~!!菌がうつるぞ~!」 いつもこんな感じだ。毎日私は病原菌。 いつから菌になったかは覚えていない。 確かなことは、私は菌。菌は、私。これだけだった。 男子が後ろから輪ゴムを当ててくる。 その輪ゴムも感染した。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1006人が本棚に入れています
本棚に追加