たしか石原くん

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小学2年か3年の時に、クラスに人気者がいた。  たしか『石原くん』という名前で女子の間でモテモテだったのよ。   「カッコイイ」   「優しいよね」   これが人気の理由。     まぁ、アタシも一緒になって騒いでいた1人なん だけどね。     ある時、席替えがあったんだ。   先生が作った番号の書かれた紙を引いて、黒板に書かれた同じ番号の席につくわけ。   彼は番号をひいたらしくすでに席に座ってた。   女子は大騒ぎ。誰が彼のとなりの席をGETするかで、番号をひくのも真剣。    「どうか当たりますように」   祈ってからひく子もいた。   番号を確認して肩を落とす子を横目で見ながらアタシもひいて、直ぐさま黒板を確認。     あ! 当たった! 石原くんのとなりだ!!     女子の羨望の眼差しが背中に突き刺さる……。   でも、そんな事気にしないさ。喜びの方が大きくて痛くも痒くもない。    いざ、お隣りさんになって授業がスタート。     彼のとなりて受ける初めての授業でアタシはやっちゃった。   教科書忘れちゃったの。   ヤバイ! 初日からカッコ悪いと慌てるアタシ。     「一緒に見よう」   彼は自分の教科書を真ん中に置いてそう言ったんだ。   石原くん優しい。   お? 女子がこっちを睨んでる。   どうだ? 羨ましいだろ?明日も教科書忘れてくるぜ!     そんなパラダイスが何日か過ぎた日。   「明日は理科の実験をします。この間決めた持ち物を忘れないように」     そう、この実験は2人1組になってイモをすりおろし、そのデンプンについて調べようというもので、もちろんアタシと彼のペア。   明日はアタシ死んでもいい!   それくらい舞い上がっていたんだ。    
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