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翌日、楽しみにしてた実験がスタートしたのよ。
スタートして間もなく気になることが……。
彼が鼻をズルズルとすするのよ。風邪かしら?可哀想……石原くん。
「大丈夫?」
アタシは彼の顔を覗きこんでそう言ったんだ。
その時アタシの目に飛び込んできたものは、彼の鼻の穴から垂れ下がる鼻水。
もっとビックリしたのがそれを袖で拭ったこと。
「大丈夫だよ」
そう笑顔で答える彼。
しかし、アタシの目は彼の笑顔より気になる一点だけを見つめていた。
これって乾くとどうなるの?
光ったまま?
それよりも石原くんが鼻水……。
自分だって鼻水のひとつやふたつ垂らすことくらいあるくせに、こういう時ってそれは高い棚の上に乗せちゃって、しまいにはアタシは鼻水なんて出ないくらいの勢いになるんだな……。
困ったアタシだよ……。
実験中、何人かの女子がやってきて言う。
「いいなぁ石原くんと実験」
「代わってあげるよ」
「えーっ! そんなの無理でしょ! 決まってんだから」
「石原くんと一緒で嬉しいくせに」
なるべく彼に聞こえないようにヒソヒソ話す。
ホントに代わりたかったんだよアタシは。
それからのアタシの石原熱は一気に冷めた。
氷点下まで一気に。
忘れ物もしなくなった。
お陰で先生にも褒められまくりだ。
参観日に来た母が、最近のアタシについて先生から聞かされ喜んでいた。
石原くんキライ宣言をしたアタシに、ライバルが
減ったと女子から喜ばれた。
みんなが幸せになった。
アタシ一人を除いてね。
こんな理由でアタシに嫌われた男子はあとを絶たない。
アタシって何様?(笑)
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