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翌日。
悠介は未和と相談室にいた。
言うまでもなく悠介が呼び出したのだ。
「未和姉…飢えがなくなったよ。」
「そうみたいね。眼が元通りになってる。…答えは見つかった?」
未和から問われ悠介は答えた。
「俺は…怖かったんだよ。雛子が離れることが…また記憶が消えるんじゃないかって…。だから…………………血で満たそうとした。雛子のぬくもりを…」
悠介はそこまで言い終わると一息ついた。
「よく見つけたわね…。吸血鬼(わたしたち)は儚いものよ…。雛子ちゃん達と違って好きな人の血を飲んで想いを満たそうとするんだから…」
未和に付け足すように悠介も言った。
「だけど…吸血鬼だって感情がある。血で満たされた感情は紛い物。一番ほしいものは…好きな人の本当のぬくもり。雛子はそれに気付かせてくれた…。」
パタパタパタパタ…
「これは…雛子?」
「行ってきなさい。お姫さまのところへ。」
「お姫さまってより…あいつは勇者だよ。…行ってくる!!!」
悠介は相談室を出ていった。
ピシャン
「やれやれ…あの2人には幸せになってもらわなくっちゃ。」
未和はそう呟いて出ていった。
2人の幸せそうな姿を見ながら。
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