老人会

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(世辞はいーから小遣いくれっての) 悪態を心の中でつきながら小柄な愛子は居間へ戻った この老人会…『七ツ星愛好会』とは月に1回会費500円を徴収して皆で煙草を吸うだけの集会──定例会を行う 全国各地で煙草の銘柄ごとの寄り合いが行われる様になったのはここ数年の話である 「吸えること」が楽しみな彼らは同じ境遇、悩み、苦しみを抱えている 月に1回のこの集まりはキリスト教徒のミサに匹敵するのだ 月に1人あたり500円出して7500円から煙草を2箱(1箱20本)買う 全員で2本ずつ吸い、残った10本は翌月に回す すると翌月の煙草は全部で50本あるから3本ずつ吸えることになる その翌月も3本吸える ひと月だけ2本だが、参加している老人(年金暮らし)が出せるギリギリが500円なのだ 煙草も大事だが衣食住を満たすにはやむを得ない これが20XX年現在の老人の現状だったりする
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