老人会

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ふーっ 根元ギリギリまで吸った煙草をもみ消し、各人が吸い終わったようだ この集まりは開始宣言はするものの、閉会時間は特に決まっていない 吸ってしまえば別段、特に何も無いから各人の都合で帰ればいい 会話もそこそこに、次々と老人が「それじゃあ私はこれにて」と帰って行く 全員が帰り、長はひとり静まった和室に座っていた 少し残っているシケモクを丁寧に伸ばし煙草を吹かすが急に虚しさが込み上げる 「七ツ星」という名の煙草の紫煙をぼんやり見つめながら自分に問いかける ( 虚しい… わしらは何故、こんな我慢を強いられなければならんのだ…) (若い頃は10分の1の値段で買っておったのに… 時代が変わったとはいえ、これはあんまりではないか…) (確かに、健康にも害するし火事のもとにもなる) (しかし…そればっかりが煙草じゃない) (吸えば落ち着くし麻薬なんかよりよっぽど良い…) (うまくは言えないが、わしは煙草が大好きだ いやむしろ、愛してる…) (…まてよ?) (そもそもわしらは何故『こんな我慢』をしているのだ…? ) どんどんズレていく老人の思考であった
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