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長はおもむろに携帯を取り出し、「主(ヌシ)」と呼ばれる仙人じみた白髪の老人と、「須賀」という見た目が堅物そうな老人へ一斉送信メールを送り呼び戻した
2人は会の補佐役である
補佐と言ってもすることと言えば会員の出欠の確認ぐらいだ
長の前には封を切っていない『七ツ星』が1箱置かれている
思わずツバを飲み込む2人
「どういうつもりですかな、長さん?」と主が言う
「定例会は先刻(さっき)行ったはずじゃあ…?」続けて須賀が言う
しかし2人とも長ではなく煙草を見ている
むしろ煙草に語り掛けている
それほどまでに2人もまた
Ⅰ Love 煙草であった
長は「へへっ。んーまぁ…そのォ…」と照れくさそうに頭をさすりながら
「吸おーぜ?」と続けた
「え!?」
意外な言葉に驚く
「…いいんですか?わしらだけで…」
他の会員の事を気にする須賀
しかしそれは建前
1箱まるまる欲しいぐらいだ
「いーのいーの、みんなには内緒にして3人で吸いましょうよぉ」
若干くだけた長の言葉に「長さんが言うなら…」と2人は嬉しさをこらえながら煙草に手を伸ばした
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