とあるドア

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テレレッテレー 「どこでもドアー」 人がいないのをいい事に、目の前のドアを使って某アニメの真似をしてみる。 (そういやもう声優さん違うからこの声じゃダメじゃん) 実にどうでもいい。 そんなどうでもいい悩みは置いといて、嵐は不審がりながらもドアを観察する。 (――開きたい) 嵐はそんな衝動に駆られた。 よく漫画やアニメで、不自然な扉を開けたり、不思議な場所に足を踏み入れたり。 そんな行為を馬鹿にしていた事もあった。 だが人は『未知』というモノに弱い。 『未知のモノ』には、人を惹きつける魅力があり、人とはそんな『未知』が大好物なのだ。 そして性格上、好奇心旺盛な嵐にとって目の前のドアは、馬の目の前にぶら下げる人参の如く見えていた。 「ちょっとぐらいなら」 何をもってちょっと、とするのかは分からないが、嵐はノブに手をかけた。 『よくぞ触れてくれました』 「は?」 嵐が間抜けの声をあげると、突然扉は勢い良く開き 「うぉ!?うぇっ!!?」 嵐は中に引きずり込まれた。 嵐を中に入れると、扉はゆっくり閉まり、溶けるように消えた。
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