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『え?』
レインは予想外だったのだろう。若干、笑顔がひきつっている。
「物好きだよなー。
嫌になんねぇ?毎日毎日雨ばっかだと」
だというのに、嵐は見当はずれな問題に1人ふけっている。
『あなたは、不思議ですね』
青年は目を丸くしつつ、だが温かみのある表情で嵐を見る。
『こんなわけの分からない空間にいながら平然としている』
「まあ、適応力があるのは自慢だ」
胸を張る嵐。
だが彼の場合、『適応力がある』というより『危機感に乏しい』といった方が正しい。
『あなたみたいな方で助かりました。
あんな不自然なドアに、簡単に触ってくれるとは思いもよらなかったので』
決して青年は嵐を馬鹿にしているわけではない。
だが人によっては『そんな考えなしな人で助かった』と解釈しないでもない。
「ああ、あれおまえのドアだったの?」
まあ、嵐にそう解釈する頭がある筈もないのだが。
『ええ。あなたを『あちら側』から『こちら側』に送る為に』
「『こちら側』?」
『嵐……』
レインは真面目な表情になって、その金色の瞳で嵐を見つめる。
『あなたに世界を救ってもらいたい』
青年の言葉に、さすがの嵐も目が点になってしまっていた。
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