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情報屋
同時刻、
キーダー・サザーランド警部。
ナベリアとは一遍して彼は眠らない街のネオンの中にいた。
今日の事件の報告書を足早にすませ、ある場所に向かっている。
花々しい表参道を抜け出せばそこには、この国の弱者達が全てを失いホームレスとして横わっていた。
入り組んだ路地をスタスタと歩いて行く。
『今日は煙草の減りが早ぇな……』
俺はマルボロの箱を逆さにして振りながら一人ごとをこぼした。
空になった箱をクシャッと握り潰しポイッとどぶに捨てて、一件の怪しい店に入っていく。
外観はくすんだ深緑で看板はラスタカラーで彩色してあるが既に色褪せてしまっている。
電飾も所々しかついてなく、いかにも出世頭の警部には似合わない場所だった。
ギィギィとうるさいドアを開けると
中にはパソコンが並んでいたが埃を被っていて蜘蛛の巣が貼っている。
壁に幾つも乱雑に並んでる写真は色褪せているが検死の写真や殺人現場の実況写真。
どれも正規のルートでは手に入らないものばかりだ。
キーダーは奥の店主らしき男に話かけた。
『よぅ川崎。久し振りだな、元気にしてたか?』キーダーは少し意地悪な笑みを浮かべる。
川崎・J・アドリッシュは黒人と日本人のハーフで情報屋をやっている。
突然の訪問に驚いている様子だ。
『やぁ……、サザーランド警部……。何の用だい?』川崎はつけていたヘッドフォンを外して、少し怯えた
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