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9月27日 AM8:28 泣き叫ぶ声が私の耳を劈く……… 悲しみと覚悟に満ちた目を深淵は容赦なく噛み砕く…… 喉がちぎれるまで叫んでも、血の涙を枯らしても帰ってはこない安らぎの名を私の心はまだ消し切れはしない。 『またあの夢か………。』 私は資料の散乱したデスクで目を覚ました。 どうやら寝てしまっていたようだ。 最近はみなくなった悪夢だったのに、昨日の事件のせいかうなされていた。 思い出したくもない過去の傷跡をいまだに引きずっている。後味の悪い悪夢。 汗だくになった体。 カラカラの喉。 時計に目をやると時間は既に8時半を回っていた。 たった一人ではこの大きな屋敷は広過ぎる。 私はシャワー室で汗を流し、冷たい水を飲んだ。 留守番電話が入っているらしい。 キーダーからだ。 『ッッ…ジ………キーダーです。今日は屋敷で発見された少女の様子を見に行こうと思うんですが、教授も一緒にどうですか?場所は……』 どうやら少女は大学病院に搬入された様だ。 私は直ぐに身仕度を済ませて病院に向かった。
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