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『久し振りです先生。彼女の容態はどうですか?』キーダーはすかさず本題に入る。
『あぁ、とりあえずは命に別状はないよ。極度の栄養失調と、全身に死なない程度の暴行が加えられているな。後、切られて直ぐに縫合した跡がいくつかあった。犯人は医者かい?』ホワイトは淡々と話す。
『わからない、でも安心したよ。』キーダーは安心の笑みをこぼしたが、
『だが、命に別状は無いと言っても、いままで通りの生活に戻るのは難しいだろうな。現場は酷いもんだったんだろう?目が覚めても精神が正常である保障はどこにもない。』キーダーは落胆する。
すると、真っ白い病室で紅い着信女が鳴り響いた。
『悪い、俺だ。』キーダーの携帯電話だ。
『オイオイ、病院では電源はお切り下さいって書いてあるだろ~。』ホワイトはふくれた。
キーダーはそそくさと病室を後にした。様子からしてどうやら事件のようだ。
案の定、数十秒後に彼は病室に戻って来て、
『事件だ。行くぞ佐竹!』と言った。
そして、『恐らく、先の事件の関連です。教授も来て下さい。』と慌ただしく病室を連れ出された。
ホワイト医師には彼女の容態に異変があったら伝えてくれと頼んだ。
外に出るともう昼の太陽が街をサウナの様にしている。
熱された愛車のクーラーを最大にして、シートに座りエンジンをふかす。
この車の向かう先にはきっと、悪い事が待っている………。
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