ｺｰﾙﾄﾞ･ﾌﾞﾗｯﾄﾞ

第一幕

9月27日
AM11:47

ロス・アンジェルス。
いわゆる都会というものだ。
街には華やかなビルが建ち並ぶ。劇場や、映画館が数えきれない程あり、それを見に来る観光客もこれまた数えきれない。

一歩道を間違えなければ実に素晴らしい街を言えるだろう

この世には光と影があるもの。金の流通する所には必ずマフィアというものが存在し、当然の事の様に弱者を貪っている。

そしてこのロス・アンジェルスの街にも２組の巨大なマフィアが存在する。
比較的若いマフィアのボルフィーノファミリーと老舗のザネッティーファミリーだ。

両者は、この街での麻薬売買の権利やカジノ、劇場の経営などで争っている。

いわゆる一触即発状態に陥っていた。

それ故にこの街では現在、強盗や殺人などの凶悪犯罪が減少している傾向にある。

奇妙な現象だ。
犯罪組織が犯罪抑制に一役かっているとは。

私はロスの大通りを荒っぽい運転のキーダーの先導を追いかけて現場に向かう。
ラジオのDJは今日も呑気に番組を進める。

30分も走っただろうか。

ブリッツバーグの時計台にパトカーが数台止まり、それを取り巻くように新聞記者と野次馬が群がっている。