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30分後… 安置所に慟哭が響く。 無機質なコンクリートの壁が押し寄せるように 男の心臓を締め付けた。 声にならない叫びが耳を劈く 血を分けた唯一の肉親だった妹が、目の前の現実にはただの肉塊に成り下がっていた 実はヤマディーノは数時間前には既に検死は終えていた。 酷く切り刻まれた腹部。 痛ましい頭蓋骨の陥没。 落下の衝撃で粉々になった頸椎。 それらを修復し可能な限り生前の姿に整形手術を行なっていた。 それでタツミの悲しみと怒りを和らげる事は出来ないが それがせめてもの ヤマディーノの配慮だった。
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