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その風格ある外観は
ドラキュラ城を彷彿させ、同時に私に不謹慎な好奇心を植え付けた。
少し足早に庭を抜けようと思ったのだが、足を止めずにはいられなかった。
目に飛び込んだのは夥しい数の墓。
それも、業者がやったとは思えないぞんざいな墓標。
その一つ一つにラテン語で名が記されている
それらに目を奪われているとキーダー警部が
先を急ごうと背中を押した。
洋館のなかに入ると外の蒸し暑い空気とは一遍した冷ややかな空気が流れていた。
大きな吹き抜けの天井にはキリストを侮辱したような
趣味の悪いステンドグラスが埃を被っている。
そして床には、見るからに高価そうな赤い絨毯が余す事無く敷き詰められていて、
私はまるで本当にドラキュラの世界に迷いこんでしまったのかと錯覚をおこしてしまった。
そして余りに精巧に造られた女性の裸像と目があった。
『キーダー警部……これはもしかして、人げ…』
私の言葉にかぶせる様にキーダー警部は
『本物の人間です。』
と悲痛な返事をした。
暫く沈黙が続いたが私は、この人形をどうやって作ったのかという事に想像を駆け巡らせていた。
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