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一方、店の従業員とミナミの顔なじみ達とおざなりの会話をしていたら大きな旅行鞄の上にちょこんと座り、大手の風俗雑誌を片手にこっちをみてる女の子に気がついた、が、目をすぐ反らされた。
(やばいなありゃあ。。)
ルウはカンを大切に考えている。
思い付いたその一瞬が結果のような気もするからだ。
(とにかく疲れたし御堂筋でタク拾おうかな。。)
踵を返したその時だった。・・服が突っ張る。
(???(゜Q。)??)
足が動かない・・。
ルウはため息を一つ漏らした後、運命に対して宥めるか諦めたかのように小さく呟いた。
「んーわかったよ・・」
もう一度振り向いて今度は少女に向かって真っ直ぐ歩いて行く。
(よく見ると綺麗なコじゃない。家出娘・家無し・仕事なし・帰る気なし、ってとこかな。)
「・・君、財布出して?」
『!!え?・・ハァ~??』
「いいから出して。取らないし。」
百合は驚いた。あの薔薇のような人がこっちに向かってきたと思ったら・・
財布を出せ?見たところ髪から足の爪まで手入れされてる感じだし、
服も靴も自分よりはるかに上等のものを身に付けてる。
その知らない彼女が私などに、ってか私の財布なんかに?まぁ言葉の通り絶対取らないと思うけど・・でも千円も入ってないから見せるのも恥ずかしいし・・😍
グ~~~~
『・・・・・(T_T)』
「・・・・・。」
「わかったから、財布いいや。ついておいで。」
ルウは御堂筋に向かって歩き出した。
『えっ?ちょっ・・』
百合は訳が分からない。と思いながらも気がつくと手は自分の荷物をガラガラ押して足は着いていっていた。
イチョウ並木の大きな道路ではすでに彼女がタクシーを止めて運転手と待っていた。
「おっちゃんあのデカイ荷物トランク入れてくれる?」
『おっしゃ。』
運転手が百合の荷物をタクシーのトランクに積む。
百合はア然と棒立ちになっていた。
「乗り。」
彼女は座席の奥から言い放つ。
(ほんとはいいたいこといっぱいあるのにでてこうへん)
どこにいくのか知らない誰かも知らない人ー
しかし洗脳されたかのように百合はタクシーに乗り黙ってドアを閉めた。
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