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「そうかもしれないね」
ユウリが答えた後、薔薇は銃口を空に向けて、白い髪を手で後ろに払った。
白髪の髪は、老化で出来たような髪色には見えなかった。
魅力的すぎるほどに、純白の少女。
返り血の赤でさえも、彼女を引き立てる。
「行こうか、ユウリ」
白薔薇のような少女が言った。ユウリは「うん」と答えて大きなリュックを背負った。
人間たちはうめいて白い少女と可愛らしい少年の背中を見ていた。
「ねぇ、あの人たちって」
薔薇が独り言を言うように言った。
「なぁに?」
「あそこで動けないまま倒れてたら、敵兵に殺されるでしょ?」
薔薇は断定気味に言う。実際、反発し合う軍人たちがうろちょろしている場所で動けないでいることはそういうことだった。
「そうだねぇ、死ぬね」
「何だか私の行く末を見ているみたい」
薔薇がそう言うと、ユウリはわけのわからなそうな顔をした。
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