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「どこが?」
ユウリは可愛らしい声で訊く。
「あの場ではまだ死なないのに、すぐに死ぬ時が来るのが分かってるとことか」
薔薇がそう言うと、ユウリは「うーん」と悩むようなしぐさを見せた。
「似てる気はするね」
ユウリはなぞなぞの答えを納得しきれていない時のような声で応えた。
そして口を開く。
「末期の患者、死のプロセスの五段階説ってしってる?」
「なに、それ?」薔薇は首を傾げた。
「キューブラー・ロスが提唱したんだ。否認と隔離、怒り、取引、抑うつ、受容 」
「それがどうかした?」
「普通、死ぬって分かった時、そんなわけない、自分が死ぬわけないって否定して、そのあと怒るんだ。
恐くて、受け入れたくなくて、怒る。
そして今度は神やお医者さんに助けてくれってすがる。
それでもダメだと思ったら、鬱になるでしょ。
で、ああ、やっぱり自分は死ぬんだな、死にたくないな、って思っても最終的には死を受け入れる。
それが大抵の人の感情の過程。たまにどっか抜けることもあるみたいだけど」
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