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ユウリは幼い顔をして難しいことを言う。薔薇は「そうかもしれない」と頷いた。
「でも、君はその過程を取り払って、すでに死を受容してる。だから、死が本当に近づいているのか分からなくなっちゃうよ。もう少し騒いでくれれば、僕にも実感がわくのに」
ユウリはさっきまでの様子はどこへやら、今度は子供らしいことを言った。失礼で、自己的だ。
薔薇はクスッと笑う。彼女はそんなユウリも嫌いじゃない。
「私は、死ぬことなんてどうでもいいから」
薔薇がそう言うと、ユウリは小さく「どうでもいい」と彼女を真似て小さく呟いた。
悲しそうでも、楽しそうでも、同情しているようでもなく。
「でも戦争で死ぬなんて意味が分からない」
「う?」
「戦争で死ななくたって、いいでしょ。どうしてわざわざ戦争をして、戦場で死ななくちゃいけないのかな。戦場って、何か意味があるのかな。」
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