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人は何故戦争を始めたのだろうか。
薔薇にはまったく理解が出来ない。
国、家族、友、名誉、そんなものに何の価値があるのだ。そして戦争に、戦場に散る兵士たちに、薔薇に、それが何の関係があると言うのだろう。
「今何を考えてる?」
ブロンドの髪の少年が真っ白な少女に言った。
少女は真っ白だった。肌の色も、髪の色も。ただ目の色だけが真紅に染まり、彼女の瞳だけに色がついていた。
「薔薇は何も考える必要はない。そうだよね?」
「君は考える頭を持ってるし、華も僕たちが知らないだけで、何かを考えているかもしれない。違うかな。」
少年は言う。子供ならではの発想だった。少年はまだ幼かった。やっと大人の段階を踏み始めたばかりの、十代前半くらいの顔つきと背丈だった。
それにしても、可愛いようで、凛々しく、綺麗な顔つきだった。
少女と少年は明らかに歳は離れていた。少女の方が、4・5歳、年上に見えた。
「そう。私は何を考えてるのかな。私は物事を無駄としか考えられないの。それは考えているけど、考えていない気がする」
「君はもうじき死ぬね」
「うん。死ぬね」
「どうだった?生きてる意味は分かった?戦争の意味は?」
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