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一人ではない。大勢いる。
激しく音を鳴らして、大群が薔薇たちの所へと向かってきていた。
「ユウリ、準備」
彼女が一言少年に言うと、まだ幼いはずの少年は、荷物を下ろし、銃剣を薔薇に手渡した後に手際よく武器を組み立て始めた。
ガチャガチャと音を鳴らしながらライフルのボルトに弾を詰める。
そしてユウリはそのライフルを大群に向けた。
薔薇は銃剣を持ち、一人で前に出て彼らの前に立ちはだかる。
彼らは軍服を着ていた。銃を持ち、草原を駆け抜ける。
ざっと15人くらいだろうか。狙いは間違いなく薔薇とユウリだ。
ユウリはスコープを覗き込んで周りを見渡した。どこかから見られていたのだろうか。伏兵がこちらを狙っていないか探す。たかが17や13そこらの子供相手に本気で殺しにはこないだろう。
だからおそらく向かってくる兵士たち以外に兵がいるとは考えられなかったが、ユウリは甘んじることなく警戒した。
「薔薇、あいつら以外にはいないみたいだよ」
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