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「お前はどちら側の人間だ?」
先程から一人で言葉を投げ掛けている兵士が薔薇に訊ねた。
この兵士が、この中では立場が上なのだろう。
「私はどちらでもありません。故に敵でも味方でもありません」
薔薇がそう言うと、兵士は銃口を薔薇の額に向けたまま、引き金を引いた。
パァンと発砲音が辺りに響き、薔薇の頭は小さく弾んだ。
その場に薔薇は倒れこむ。
それを合図に、身を潜めていたユウリはライフルを兵士たちに向けて発砲した。
彼は大人の兵士よりも冷静だった。
ライフルは激しい音を立てて弾を吹き、弾は兵士たちに着弾した。
兵士たちは困惑と驚愕の叫びを上げ、血を巻き上げた。
弾を受けている間壊れた機械のようにがくがくがくと弾み、血を吹きながら地面に倒れた。
彼らはユウリの姿を探すが、それももう遅い。
ユウリの飛弾を避けるため、彼らは地面に伏せた。
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