ニヒルな現実像

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渋谷は、DREAMIN'に憧れてバンドとしてデビューしたいと思っているのだ。ここまで来たなら妥協は許されない。 「……。でも、さすがに夢見てばっかはあかんよな」 そう。渋谷もわかっている。 理想ばかりを求めていては、チャンスは手をすり抜けていく。 「ヨコもヒナも、ちゃんと社会人になるなかで、オレってなにしてんのやろな」 微かな彼なりの弱音。それは広瀬の耳にもしっかり届いていたが、広瀬はなにも言わず雑誌をパラパラと捲っていた。
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