一章 ボクサーと王女の出逢い

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 季節は、夏。  ジリジリと照りつける太陽の下、女性は目的地無き旅を続けていた。  酷い空腹感と渇き。確実に溜まる疲労。それらに耐え、女性は歩を進めて行く。 「おい。そこのお前止まれ」  女性は呼び止められた。振り向くと、黒い鎧をきた人間の男が二人、歩み寄ってきた。  女性はフードを深く被り、顔を隠した。 「女、顔を見せろ」  男はフードを外すように強要する。 「……」 「聞こえないのか? なら、上着ごと脱がしてやるよ」  男達は不気味な笑みを浮かべ女性へと近寄ってくる。 (くっ……誤魔化せない。逃げないと)  女性は男達に背を向け走り出した。
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